【いちごが好きでもあかならとまれ。】 雁須磨子
いちごが好きでもあかならとまれ。 (バーズコミックス ルチルコレクション)
雁須磨子先生の初期の作品。
私が初めて読んだ須磨子漫画でもある「いちごが好きでもあかならとまれ。」。
この漫画のタイトルを見たときに「何てオシャレだろう!」と当時の私は思った。
今までドロドロぐちょぐちょのBLを読むことが多かった私にとって、こんなふんわりゆるーい感じのBLがとても新鮮だった。
雁須磨子先生は同人誌も描かれていて、BLを描かれていた期間は長いはずなのですが、BLのコミックが少ない印象があります。BL以外も描かれているので今はそちらが知られているかもしれません。
ですがBL作品は素敵なものが多い。
私はこの「いちごが好きでもあかならとまれ。」で須磨子作品にハマって、時々描かれるBL短編を追って雑誌を探し回っていた。
記事の上に載せているコミックの画像は新装版なのだが、当時の表紙がとてもシンプルでオシャレだった。
そのオシャレなセンスが漫画全体から感じることができる。
仲が良すぎる幼馴染の2人が、急にお互い「恋」を意識し始める。「オレってホモなのか!?」と真剣に悩みつつも、至る所に笑いが散りばめられていてホッとできる。
もう、須磨子作品のギャグセンスが好きなのだ。
この漫画でも「人の家に生っている野菜を無断で食べて食中毒になって入院」「エロマンガ島を地図帳で探す」などがあり、笑いながら読んでいた。
そして何よりも主人公たちだけではなくて脇役たちも素敵なのがこの漫画の魅力でもある。
枝光のお友達の「大久保くん」は2人の関係を面白がりながらもやさしく見守るイケメン。須磨子先生もこの人を主人公にして物語を考えていたくらいの印象に残る脇役だった。
他にもバイト先の不思議なおねえさんがいたりして、どこを読んでも引き込まれ、最後の最後まで楽しむことのできる。
アクシデントも何も無く、日常がゆるーく続いていく漫画です。
こういった日常のほのぼのとしたBLが好きな人にはぜひおすすめしたい。
絵が古いと感じる人も居るかもしれませんが、90年代に描かれたという事をあまり意識せずに読んで欲しい。